搬送

せっかく同僚が駆け付けてくれたものの、玄関には鍵がかかっている上に、自分は全裸だ。泣きそうになりながら服を着て、トイレに行ったのと同じような作戦で玄関の鍵を開ける。たどり着いてから何分待っても出てこない僕に、ただ事でない雰囲気を感じたか、同僚はとても心配そうであった。タクシーを待機させておいてもらったのだが、あまりに痛くてそのタクシーに乗り移れない。一度、抱きかかえてもらったのだが、足が浮くと同時にものすごい激痛が走る。結局救急車を呼んで、その場で空気を入れられる添え木に足を固定した上で膨らませ、動かないようにしてから担架に乗せられて病院に直行した。どこの病院がいい?とか聞いてくるので、どこでもいい、と答えておいた。こんな思いをしても、結局救急車に乗るのであれば、最初からさっさと呼ぶんだった。