暗闇

ダイアログ・イン・ザ・ダークを体験。
暗闇の中を歩くのにいっぱいいっぱいで、視覚以外の知覚を楽しむ余裕があまり持てなかったのが一番残念。暗闇の中のアテンドスタッフは本当に頼りになった。

光源さえあればおおよそのものは光を反射するため、視覚は、周りの状況を全体的に捉えることができる。しかも、たいてい光源は恒久的に光を発する。しかし、音源から発せられる音の反射音はほとんどの場合捉えられないため、聴覚は、周りの全体的な状況を捉えることはできない。捉えられるのは音源だけで、しかも音は恒常的に発せられていることはまれである。つまり、見えるものがなければそこに物は無いが、聞こえるものが無いからといってそこに物が無いわけではないのだ。まったく当たり前の話なのだけれど。視覚を奪われると、ほとんどのものは知覚されずに存在することになるのだ。

それから、同じ回を体験した人の第一印象。聴覚だけの第一印象って、本当にソフトな第一印象になる。ネガティブイメージは無いし、最初は印象がほとんど無い。ほぼニュートラルなところに、声からその人の人柄みたいなものがだんだんと積み重なってくる感じ。普段は、ずっと相手を見ているうちに、見た感じから相手をどんどん決め付けていくんだろうな。においって、たいていずっと存在するから、たとえば今回だれかいいにおいだったり、くさかったりする人がいたら、きっと印象は視覚のときと同様にどんどん固まっていってしまったんだろうな。

外に出てしばらくは、聴覚が鋭敏なままだった。すぐ戻ったけど。